杉原家のキッチンで
注意:このSSを読んでいただく上で‥‥
・洋子さん壊れてます。
・苦情や感想はshima-3@hm2.aitai.ne.jpまでお願いします。
カシャカシャ・・・
シャー・・・
ふー、今日も頑張りました。
けど最近のお嬢さま少しですが食欲がでてきたようで嬉しいです。
それに明るくなりましたし・・・やはり恋は人を変えるのでしょうか?
「あの・・・洋子さん、ちょっといいですか?」
何故かタイミングよく真奈美お嬢さまがキッチンまでやってきました。
あら、おかしいですね、お顔が真っ赤です。
お食事中も何度か私のほうを見ていましたし。体調はよさそうですが・・・
「あら、お嬢様、どうしたんですか」
「ぁ・・・あの・・チョ・・チョコを・・・」
チョコ?そう言えば明日はバレンタインでした。
そんな事を忘れてるなんて私も年でしょうか?
「バレンタインのチョコですか?」
「え!?なんでわかっちゃうの?」
「ふふふ・・・この季節にお顔を真っ赤にされて
チョコと言うなら大抵バレンタインがらみなんですよ」
「そうなんですか?」
「そーですよ、けどお嬢さまがバレンタインのチョコを
手作りでつくるなんて・・・なんだか嬉しいです」
あえてお嬢さまの問いには答えずしみじみと語ってみます。
予想道理、更にお顔が赤くなりました。
初々しいですね。
思わず食べ
違います。
「あの・・・え・・・っと・・その・・・手作りと言うわけじゃ・・・」
「それではその手に持ったチョコはなんでしょうか?」
ますますお嬢さまが慌ててきました。
「洋子さん、意地悪です・・・」
お嬢さまがいじけちゃいました。
これはこれで可愛らしく見え
じゃありません。
「それでははじめますかお嬢さま?」
「え?」
「チョコ、作るんじゃないんですか?」
「は、はい・・・」
「ではエプロンを着てきてください。
簡単な準備は私がしときますから」
「はい、わかりました」
たったった・・・
心なしか足取りが軽いみたいです。
やっぱり、真奈美お嬢さまは笑顔が一番似合います。
ふー、とりあえず準備は出来ましたね。
とたとた・・・
お嬢さまもきたみたいです。
「遅くなってごめんなさい」
お・・・お嬢さまのエプロン姿は始めてみましたが・・・
萌えです!!
可愛過ぎです!!
思わず襲いたくなり
違いま・・・せんけどやっぱり新鮮です。
「どうかしました、洋子さん?」
そんな上目遣いまでされた耐えられません。
「な、何でもありませんよ、お嬢さま」
「なんか声が上ずってません?」
「気のせいですよ、ささ、始めましょう」
「はい、お願いします」
なんとか落ち着けました・・・気をとりなおして頑張りましょう。
「洋子さん、次は?」
「そうですね、湯せんをしましょうか」
「ゆせん?」
「直接お鍋で溶かそうとすると焦げてしまう上に
お掃除が大変ですからね。
まず、お鍋にお湯を入れて
その中央にボールを置いて
そのボールの中にチョコを入れるんです」
「はい、わかりました」
お嬢さまがせっせと働きます。
さっきからおぼつかないとこもありますけど
決して弱音は吐きません。
よっぽど彼の事が好きなんですね。
「水が沸騰してきました」
「ではチョコを入れましょうか。
溶け始めたらゆっくりかき混ぜるんですよ」
「はい」
先ほど割ったチョコをボールの中に放りこみます。
お嬢さまは本当にたくさんの種類のチョコを
買ってきてましたが(その数14)
今回はオードソックスな物を選んでみました。
初めてでしょうからあまり難しくない方がいいでしょう。
「ゆっくり・・・ゆっくりと・・・」
あらあら、とても慎重ですね。
まるで壊れやすいガラス細工を扱ってるみたいです。
私もガラス細工のようにはかない雰囲気を持った
お嬢さまをこの手で
じゃありません。
さっきからしつこいですね。私は変態さんじゃありません。
「お嬢さま、型入れはお決めになったんですか?」
「え?それが、まだ決めてないんです。ラッピングもまだ・・・」
「まだお決めになっていないのでしたら、これなんてどうですか?」
私は奥様が愛用なさっているハート型の型入れを差し出しました。
「何でこんなものがあるんですか!?」
お顔がまた赤くなってしまいました。
「あら、知らなかったんですか?
毎年奥様は旦那さまにハートのチョコを差し上げているんですよ」
「け・・・けど・・・こんな形にしたらあの人に迷惑かもしれないし・・・」
「お嬢さまっ」
私は少し声を強くしてみました。
びくっ、とお嬢さまの体が震えます。
「せっかくまた逢えたのにそんな事を言ってはいけません。
それにヴァレンタインは女性が大切な人に
自分の思いを伝える事が出来る日なんですよ。
とりあえずヴァレンタインぐらいは
自分の素直な思いをお伝えになられたらどうです?」
「・・・はい、そうですよね
せっかくあの人が遠いところから来てくれるんだから
私が・・・ううん、私も頑張らなきゃ」
はい、いい顔になりました。けどすぐに顔を赤くすると、
「けど、やっぱり恥ずかしいです・・・」
ふ〜む、うつむき加減でぼそぼそとしゃべる姿も
いい加減にしなさい
私にそんな趣味はありません
「それならいっそのこと
お嬢さま自身がリボンをまとって
『私がプレゼントです』とでも・・・・」
我ながらおじさんみたいな寒い事を言ってしました。
が、そこは希少価値がつくほど純情なお嬢さま。
一瞬ぽかんとした表情をしたかと思うと
『ぼんっ』と言う音が聞こえてきそうなほど
真っ赤になってしまいました。
「よ、洋子さん!!」
本当に表情が変わるようになりました。
今日だけで何回赤面状態になったのでしょう?
「ほら、お嬢さま、チョコのほうは見なくてもいいんですか?」
「あっ!いけない!」
そう叫ぶと再び丁寧にチョコをかき混ぜ始めました。
それから30分後・・・
「ほどよくチョコレートが溶けたみたいですね」
「はい」
「結局どの型にするんですか?」
「やっぱり・・・これを使います」
そう言って手にしたのは奥様が愛用しているハートの型でした。
「私の気持ちも、ママみたいに届くように・・・
ママみたいに続くようにって思ったらこれにしちゃいました」
「そうですね。それでは早速流し込みましょう」
「はいっ」
笑顔で答えてくれるお嬢さま。
先ほどの味見でも本当においしかったですし
これなら誰が貰っても喜んでくれるはずです。
「これを冷蔵庫に入れてと・・・後は固まるのを待つだけですね」
時間も結構かかってしまっています。
私はともかく生まれつき体の弱いお嬢さまは
早く休んでもらいたいですね。
結構緊張もなさってたみたいですし。
「続きは明日の朝にしましょうか?」
「う〜ん・・・そうですね」
「チョコレートに書く文字は決めましたか?」
「え!そんな事もするんですか?」
当たり前です・・・本当に可愛い子猫ちゃん・・・
(妄想中)
(妄想中)
(妄想中)
「よ、洋子さん・・・どうしたんですか・・・」
はっ。私はなんて事を・・・
お嬢さまが怯えています。
よっぽど変なオーラが出ていのでしょう・・・
「お嬢さま、申し訳ありません・・・」
それしか言う言葉が見つかりません。
「???」
頭を下げてる私に状況を理解できないお嬢さま・・・
しばらくこの状況が続きました・・・。
終わり
あとがき